昆布の製品づくりは、たいへんに手間がかかる仕事です。
漁師の皆さん・生産者の皆さんが心を尽くしてされる作業には、頭が下がります。
まず昆布漁。漁師の皆さんは漁船から長い棹を手で海底まで差し込み、昆布をねじり取って引き上げます。
力と技と、根気がいる仕事です。
これを干し場へ運び、砂利の上に一本一本広げて天日で干して、取り込みます。
乾燥機を使って低温を保ちながら10時間以上かけて乾燥させた後は、選葉の作業です。
昆布の等級・質は色んな要素で決まります。
幅、長さ、重量、色つや。枯れや赤葉がないか、穴あきがないか、白粉の量はどうか。
それらを熟練の職人が人の目で一本一本見極め選別します。
きれいに広がるようにのしたら、荒れている部分をハサミで刈り落とし、苔を拭き取るなど細やかに整えていきます。
天日で乾燥させて旨味を凝縮させ、畳む時には割れないように反対に水分を戻したり。
生産者の皆さんは手作業で見事に昆布の状態をコントロールしています。
そうして束ごとに掛けられるダンボールパット。
これも製品ごと・漁協ごとに様々なデザインがあり、美しい装丁が味わい深いものです。
手仕事とはいえ、今は乾燥機や圧縮機、カッターも便利なものができました。
ひと昔前は、すべて手作業で出荷作業を行なっていたもの。
夏にたくさん採って干して置いたものを、冬にゆっくり製品にして出荷する。昆布はそんな一年がかりの仕事でした。
昆布いまむかし。根室で長い年月、見られてきた光景です。