様々種類のある昆布ですが、荷姿はどれもよく似ています。
105cmごとにカットして20Kgごとの束にまとめ、
「キリン」と呼ばれる昆布プレッサーで圧縮して、
銘柄が描き抜かれたダンボールパットをかけ縄で結束。
縄の色は等級で区別があり、例えば緑は一等、赤は2等のように決まっています。
そうして同じ長四角にまとめられたものが、私たちの倉庫に並びます。
厚葉昆布の場合、1本の昆布から105cmが3本取れます。
これを、根本側から順に「もと昆布」・「二番切り」・「葉の一等」と呼んでいます。
先端の「かしら」と呼ばれる部分と根本のひらひらした部分はカットします。
猫足昆布の場合は切り分けずに折り曲げて、これも105cm長さにまとめます。島田結束という方法です。
この、105cmという数字には歴史があります。
江戸時代から明治にかけて、大坂を起点に瀬戸内海から北陸を経由して北海道まで、日本海を往復する航路で荷を運んだ、北前船(きたまえぶね)。
北海道から大坂方向へ運ばれる上り荷は海産物がほとんどで、中でも昆布は重要な産品でした。
その時の船にぴったり収まる荷姿が、この105cmの束だったのです。
北前船で出荷された昆布は、特に富山藩から薩摩・琉球王国を介して、遠く清(今の中国)へ輸出されていました。
この一大貿易ルートは「昆布ロード」と呼ばれています。
時代を経て物流が鉄道や自動車に取って代わられた現在も、昆布は105cmで出荷するのが常道です。
当時の中国では、北海道の昆布が貴重な栄養源だったと言われています。
というのも、成長や新陳代謝を促す甲状腺ホルモンを合成してくれるヨウ素(ヨード)が群を抜いて多く含まれている食品が、昆布。
日本では昔から食生活に昆布が根付いているので、日本人がヨウ素不足になることはほとんどありませんが、
世界の多くの国ではヨウ素の摂取を補わなければいけない場合も多くあるのだそうです。
それで、北海道の昆布が北前船でたくさん富山へ運ばれ、全国に広まっていきました。